めまい-良性発作性頭位めまい症(BPPV)

 BPPVは、頭の位置を変える際、たとえば寝てて起き上がる、急に振り返る、などの時に「めまい」が引き起こされる疾患をいい、内耳の三半規管(-頭部の回転運動を感知-)と、前庭にある耳石器(-頭部の直線運動や傾きを感知-)に不具合を起して発症します。

 三半規管内はリンパ液で満たされたループ状のトンネルで、ここに耳石器から剥がれ落ちた「耳石」が挿入してしまい、半規管内のリンパ液の内圧や生理的な流動が乱れ、前庭神経(末梢脳神経Ⅷー内耳神経)や、眼球を動かす神経(末梢脳神経Ⅲー動眼神経・Ⅳー滑車神経・Ⅵー外転神経)が異常に刺激されてしまい、頭が前後、上下に動いたり、回転しているような感覚症状が生じます。 ひどい場合は目の玉がクルクル回ったり、なかには吐き気や嘔吐を起す方もあります。 

 BPPVによるめまい症状は辛く、恐怖を伴うものでもありますが、通常は命を落としたり、特別な後遺症が残ることはありません。半規管内から「耳石」が吸収されれば、或は、うまく流れれば症状は無くなる疾患です。 しかし、残念ながら現在「耳石」を溶かす薬はありまあせん。

 病院、医院での治療法としては、「浮遊耳石置換法」という治療法か、自発的運動療法(頭位リハビリテーション)があります。 めまい止めの薬は症状を和らげるために使われています。が、副反応がある為、あまり多様しないようです。

和柔整体に於ける「BPPV」の考察

 和柔整体では「BPPV」の発生機序において、内耳の三半規管内及び前庭内のリンパ流動が、何らかの原因によって感覚受容器(有毛細胞)を興奮、錯綜させることで発生する疾患であることは異議ありません。ここで重要なのは細かな状態分析と治療(当院に於いては施術)になると思います。 三半規管に耳石が挿入することで起こるものは、回転性のめまいで、比較的症状が重く嘔吐や吐き気も伴うことがあります。しかし、多くの場合、動作を変えるときなどに、頭が揺れる様な”ふらつき感”、前後,乃至は上下に揺れる様な異常な感覚があり、しばらくすると落ち着く・・・、この様な症状の方が多いと思います。これは、前庭の耳石器が不具合を起してのもので、姿勢の歪みによって、頭位の位置が水平に保てない(耳ラインーアンバランス)や、肩の傾き(肩ラインーアンバランス)が起こり、左右の内耳=前庭(耳石器)の位置変位により起こるリンパ流動の誤差が因子となって、脳の位置情報が錯綜することが原因と考えられます。 この耳石器のリンパは、中耳の内圧の変化にも影響を受けるようで、「耳管」の鼓室内圧の調整力が弱っていることも、左右の内耳リンパ圧の微妙な狂いを引き起こすのではないかと仮説を立てています。

和柔整体『ぷるタッチ反射術』施術ー目的ー及びターゲット

BPPV施術の最大の目的は頭の位置を正常に戻すことにあります。 それは姿勢を矯正することに他なりません。 直接的には耳ライン(顎関節症候)アンバランスですが、間接的に肩ライン(頚肩腕症候)がアンバランスを起しても頭の位置はくるいます。骨盤ライン(腰・骨盤・膝症候)がアンバランスを起しても然りです。

1.姿勢分析で耳ラインに傾きがあれば ⇒顎関節症候ー参照

顎関節をアジャスト(調整)することで、後頭骨と環椎(C1)関節環椎(C1)と軸椎(C2)関節を矯正し頭位を根元から正すことになります。このアジャスト(調整)は末梢脳神経の[Ⅷー内耳神経]及び[Ⅲー動眼神経・Ⅳー滑車神経・Ⅵー外転神経]にも代謝促進を促す好影響を生みます。

2.姿勢分析で肩ラインに傾きがあれば ⇒頚肩腕症ーー参照

とくに、斜角筋症候群における斜角筋、肩甲挙筋の過緊張を解き肩ラインを水平にすることで、頭位を土台から正常にする、ことが狙いです。

3.骨盤ラインにも傾きが存在していれば ⇒横隔膜は心臓の次に重要ー参照

もし、BPPVの症状があり、それが姿勢の歪みとして骨盤ラインまで問題を起していれば、これは[末梢脳神経Ⅹー迷走神経]絡みのパターンを示唆しなければなりません。(WAJUの臨床経験上)

 迷走神経が横隔膜に影響を与え、骨盤底筋群から梨状筋~内,外閉鎖筋と’負の筋肉反射連動ー連鎖’が起こってしまい骨盤ラインを歪ませているかもしれないのです。 こうなれば、単純に腰・股関節・膝をアジャスト( 調整)しても良くなりません。 ぷるタッチ反射術の『おなかpushーTouch反射Technic』を施すことで、横隔膜から迷走神経の促通を促す必要性を示唆します。 ⇒この問題をひとこと言うと、自律神経の失調が絡む問題だ、ということです。

以上、このように多岐にわたる問題をマルチな観点にたち全身的な施術を施すことが、良い結果を生むと思います。 

 森を観て、森を整えることで、はじめて一本の木が生まれ変われる! WAJU(和重)の持論です。

当院に於ける臨床例

【良性発作性頭位性めまい症(BPPV)】

ある患者さんが眩暈(めまい)の症状で来院されました(2022/3月末)

M.Tさん(87歳)女性

2月末のコロナワクチン3回目摂取後、両肩関節挙上不全及び頚部回旋不全が起こり、加えて眩暈症状が発症。

発症後すぐに、病院の耳鼻咽喉・頭頸部外科を受診、そこでBPPVと診断され、処置として運動療法(頭位リハビリテーション)の指導を受けられたとのこと。しかし、その運動療法をご自宅で行なうも、高齢でもあり、『上手くできな・・・、症状の回復も望めていない・・・、』、、当方で改善できないか?!ということで来院されました。

病院で手渡された運動療法パンフレットはこのようなモノです

( 大阪医科大学付属病院 耳鼻咽喉科・頭部外科 患者説明パンフレットから )

上記パンフレット内の下6行が読みにくいので再度記載します。⇒「運動療法を行うと、耳石が動くのでめまいを感じます。しかし、それこそが治療効果が期待できる証拠ですので、少し頑張って続けて下さい。 もう一つ大切なこととして、運動療法は現在唯一、BPPVの再発を下げることができる方法です。つまり、耳石の散らしグセをつけておくことが、BPPVの再発を防ぎます。逆を言えば、めまいがしないようにじっとしていると、強いめまいが起こりやすくなるということです。めまいがしなくなっても、運動療法は出来る限り続けて下さい。」

M.Tさんは、この最後の文章を見て、頑張って一日に3回、三週間続けたそうですが、年齢的なものもあり、要領やコツがうまく掴めずに症状を改善するに至らなかったとのことでした。

M.Tさんの当院に於ける施術

姿勢分析と所見

骨盤ライン、肩ライン、耳ラインの水平ラインが歪み、右顎関節に最大開口不全を呈していました。もともと(高齢による)姿勢の歪みが有り、そこにワクチンの副反応で肩、首の運動制限が発生し頭位の傾きが起こったことでBPPVを発症したと考えました。

当院の観点

●左右の顎関節可動域のアンバランスが起こると頭位の水平アンバランスが発生するパターンを多く観察しています。加えて、顎関節の不具合で内耳の内圧アンバランスも発生することを臨床的に多く経験しています。

●横隔膜を中心とした呼吸筋群の不具合によって、肩ラインのくるいが起こることで必然的に頭位の水平アンバランスが発生するパターンを多く観察しています。

対策

WAJUはこの2つの観点に着目して、他動的運動療法(施術として施す運動療法)として「ぷるタッチ反射術」を行ないました。 この患者さんに於いては全身的な施術の必要性を感じ初回から全身的な姿勢矯正を行いました。 

 週に2回の割で1か月を要しましたが、この患者さんのBPPVの症状は改善しました。

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