横隔膜は安息呼吸の主動筋
皆さんは横隔膜と聞いて『痙攣するとシャックリを起こす所』程度の認識だと思います。が、ほんとうは心臓と共に日夜休みなく稼働し、多大な仕事を課せられたとても重要な器官(筋肉)なのです。
その機能をあげてみましょう。
1)横隔膜は安息呼吸の主動筋
肺は自体では動けない臓器です。
“呼吸筋”という胸,背中まわりの筋肉群で肋骨を動かして、
風船のように肺を膨らませ空気を取り込んでいます。
その呼吸筋群の主動筋は、
『肋間筋』と『横隔膜』です。
上図-肋間筋です
上図-横隔膜です
『肋間筋』は、肋骨の間を走る肋間神経(運動神経)と交感神経(自律神経)の
2つの神経支配を受け、意識でも、無意識でも、動くことができます。
おもに多くの酸素を必要とする運動時に稼働します。
『横隔膜』もまた、頸椎からの横隔神経(運動神経)と副交感神経(自律神経)の
『迷走神経』支配を受けて、意識、無意識の両方で働くことができます。
おもに安息のリラックス状態時に稼働します。
睡眠時は横隔膜のみの呼吸となります。
それだけではありません。
呼吸は喜怒哀楽の感情や、心配、不安の情動にも影響される
『心』と密接した機関でもあります。
たとえば、家族が事故に遭遇した!という知らせを聞いた瞬間に、
心臓はバクバク速く鼓動を打ち、気持ちは錯綜し、呼吸は速く、浅くなります。
この状況のときに、ー意識的に深いゆっくりとした呼吸ーをすると、
心臓のバクバクも、錯綜した気持ちも、だんだん落ち着いてきますでしょう。
この「意識的に深いゆっくりとした呼吸」は、
安息時及び睡眠時の呼吸をつくる「横隔膜」が副交感神経の『迷走神経』支配下にあって、
リラックスモードのスイッチを‘ON’にして、
興奮している交感神経のスイッチを‘OFF’に切りかえる神経反応です。
意識が無意識に反応させて起こる現象です!
(⇒横隔膜は筋肉なので意思で動かせる)
(⇒因みに、大きく腹式呼吸をしても上手くいきません!
⇒何故なら、肋間筋が稼働して交感神経にスイッチが入るからです。)
このように、安息時の呼吸を支配する『横隔膜』は
感情-情動の興奮,乱れをもアジャストできるのです。
『瞑想』・『マインドフルネス』はこの原理を利用しています。
安息呼吸ー横隔膜の重要性を少し理解いただけたでしょうか。
次は、各論2で
横隔膜を支配する『迷走神経』のマルチな機能をご紹介します。
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