【和柔ー食養生のコラム】No.5
私たちは食物を消化器官(口腔、胃、腸など)で
栄養素に変化させ
それを脳や筋肉や内臓などを動かす
エネルギーに変えたり
身体を入れ替える材料に使っています
これを栄養代謝と称します(WAJUの造語)
栄養素と代謝
食べ物から摂取する栄養素には
糖質(米・穀物・果物など)
脂質(魚の油・肉の脂など)
タンパク質(魚の身・牛や豚等の筋肉・豆類)
の三大栄養素があります
これらに
ミナラル(塩、鉄、亜鉛などの鉱物)と
ビタミンを加えて
五大栄養素が必須の栄養素です
栄養素の消化・吸収代謝(システム)
消化器管の消化・吸収機能として
一般的な認識は
口や胃で消化し腸で吸収する
と思いでしょうが
糖質・脂質・タンパク質で
それぞれ特質があります
観てみましょう
糖質の消化・吸収代謝(システム)
糖質は
口腔内で唾液アミラーゼ
十二指腸で膵液アミラーゼで
消化され
小腸で吸収されます
⇒糖消化・吸収の第一特質として
口腔内で一部ですが消化,吸収が成されるところです
これは低血糖状態に陥ったとき
糖分を口腔内で素速く吸収することで
窮地(低血糖状態)から即座に立ち直るべく
血糖値を正常化するシステムです
p.s.⇒現代人はこのシステムを多投し過ぎて
( 空腹感が無いのにお菓子やジュースを口にしてしまう )
慢性的な高血糖状態に陥っておられる方が多いようです
p.s.⇒塩分(ミネラル)もこの特質があります
タンパク質の消化・吸収代謝(システム)
タンパク質は
口腔内では咀嚼されるのみで
胃部で胃酸によって溶かされ
胃液プロテアーゼで消化されます
吸収は小腸でされます
ここで着目する点は『胃酸』です
タンパク質(肉、魚の身)は
分解し辛い食べ物ですので
強酸性(塩酸や硫酸(PH1~2)に匹敵)の胃酸で
すべてのモノを溶かしドロドロにします
この胃酸は
外からの害敵(細菌やウイルスなど)も始末する働き
も兼ねています
p.s.⇒水分を摂り過ぎて胃酸を薄めてしまうと
消化力と菌浄化力が落ちます
水の飲み過ぎには注意を要します
脂質の消化・吸収代謝(システム)
脂質は
十二指腸で消化されます
水に馴染まない油・脂を胆汁酸が『乳化』
させて
膵液リパーゼで『消化』し細かく切り刻みます
『胆汁酸の乳化』⇒胆汁酸は石けんなど界面活性剤のように
脂・油を包み込んで水に親和させる働きがあります
吸収は小腸でおこなわれます、が
糖質、タンパク質のようにすんなりと吸収されません
⇒この問題に関しては『乳び槽と脂質代謝』と題して別枠で述べます
次は小腸での栄養素吸収について観てみましょう
P.s.膵液の重要性=膵臓の働き
1.胃から送られる食物は胃酸で酸性になっています
それをアルカリ性の膵液で中和します
2.十二指腸領域で膵リパーゼ・膵アミラーゼ・膵プロテアーゼによって
脂質だけではなく糖質&タンパク質もシッカリ消化します
栄養素吸収『小腸』
十二指腸で細かく消化された栄養素は
小腸粘膜内で仕分け
糖質はブドウ糖として
タンパク質はアミノ酸として
門脈という毛細血管を通り
肝臓へ送られます⇒(門脈・肝臓ルート)
脂質は少し複雑です
小腸粘膜内で
短鎖・中鎖・長鎖脂肪酸の3つに仕分けられます
短鎖、中鎖脂肪酸は門脈ルートで肝臓に送られます
しかし
粒子(分子レベル)の大きい長鎖脂肪酸
は
毛細血管である門脈に入りきらず
仕方なく
リンパルート(胸管・乳び槽)に送られます
p.s. ⇒脂質における門脈・肝臓ルートとリンパルートの比率
現代人は、門脈ルート2:リンパルート8
’代謝’物流センター『肝臓』
小腸で吸収された栄養素は
肝臓へ送られます
肝臓の合成機能
□アミノ酸(タンパク質の最小分子)
を材料に
ホルモンや酵素が作られます
運搬トラックであるアルブミンなどの
血漿タンパクも合成します
●ブドウ糖(糖質の最小分子=グルコース)
は
● 即エネルギー材料として必要に応じて血中へ
余剰分は
● グリコーゲンに合成して肝臓内に貯蔵
もっと多くなれば
● 中性脂肪に変化させ
内臓脂肪(お腹周りの脂肪細胞に)として貯えます
p.s⇒糖質の取り過ぎが(脂質の摂り過ぎよりも)
中性脂肪オーバーの内臓脂肪肥満になり
メタボリックシンドロームに陥る
◯脂肪酸(脂質の最小分子)
は
●門脈ルートで入ってきた
短鎖,中鎖脂肪酸に関しては
より扱いやすく⇒遊離脂肪酸として
アルブミンに乗せ血中へ送り出します
●リンパルートで入ってきた
長鎖脂肪酸は
コレステロールに合成し
VLD・LDL(悪玉)のリポタンパク(運搬トラック)に乗せて
血中へ送り出します
p.s.⇒HDL(善玉)は血中内の不要なコレステロールを
回収する働きのリポタンパク(運搬トラック)です
血中栄養素の運搬
栄養素は血管に入り血液循環によって
全身の各組織細胞に送られますが
それぞれの栄養素を効率よく運搬するシステム
が構築されています
ブドウ糖の運搬
ブドウ糖は
血中内では基本的に自由な形で溶解しています
膵臓から分泌されるインスリンは道案内人の様な働きで
各細胞に適切に効率よくブドウ糖を誘います
ブドウ糖は細胞の第一番のエネルギー源です
p.s.インスリンの処理能力が低下し高血糖状態が長引くと
「糖化」現象が起こり毛細血管を詰まらせるような悪影響の発生源になります
p.s.糖代謝については『糖新生』と題しブログで解説したいと思っています
アミノ酸の運搬
アミノ酸も
血液中で単独で自由な形で溶解しています
血管壁(血管内皮細胞)や細胞膜を通り抜けるときに
アミノ酸トランスポーターが働き運搬を担います
脂肪酸の運搬
疎水性の脂肪酸は水になじみませんので
運搬トラックが必要です
遊離脂肪酸は「アルブミン」が
コレステロールは「LDL」が
運搬します
遊離脂肪酸は各細胞に送られ
エネルギーとして使われます
コレステロールは細胞膜の材料として使われます
p.s.コレステロールは非常に重要な栄養素です
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