迷走神経と横隔膜
皆さんは横隔膜と聞いて『痙攣するとシャックリを起こす所』程度の認識だと思います。が、ほんとうは心臓と共に日夜休みなく稼働し、多大な仕事を課せられたとても重要な器官(筋肉)なのです。
その機能はマルチで、
横隔膜の神経支配は運動神経の横隔神経(C3~C5)と自律神経の迷走神経の支配を受けています。これは各論1「安息呼吸の主動筋」でも述べましたが、睡眠中の無意識の呼吸も、運動時の意識的な深呼吸も横隔膜が意識神経と無意識神経の2つの神経支配を受けているからです。
では、その迷走神経って?
2.迷走神経について
迷走神経は内臓全体を支配する『第Ⅹ脳神経-副交感神経』で、
頭蓋底から発し脊髄を通らず、胸腔内の気管支、肺、心臓、に神経枝を送り、
横隔膜の穴‘食道裂孔’を抜けて
腹腔内の胃、肝臓、膵臓、小腸、大腸にまで神経枝を延ばしています。
【↑ー迷走神経は内臓全体に分布していますー】
【↑ー迷走神経はほとんどの内臓を副交感神経として支配していますー】
この神経の役割はマルチで、
頭蓋,頚部領域では、外耳の感覚、咽頭の感覚、及び
発声や嚥下の筋肉の運動を支配します。
胸腔内領域では、副交感神経として
心拍数を低下させ気管支を収縮させて、
呼吸や循環を緩やかに仕向ける調整に関与します。
腹腔内に入ると、
胃腸の蠕動運動を起させる平滑筋の運動神経として働きます。
これだけではありません
【↑ー迷走神経は内臓の情報を脳に伝えますー】
内臓の不具合情報を脳に逐一知らせる
内臓求心性繊維という回路(=内臓感覚)
を備えた単に‘末梢脳神経’の一つというよりは、
生きてゆくのに最も重要な“生命維持神経”の一つといえます。
この生理学的事実を手技施術に応用することを考えますと、
迷走神経支配下にあり、且つ運動神経でも動かせる
横隔膜をアジャストすることで、
心臓の血液循環系にも、消化器系の胃腸、膵臓にも、代謝系の肝臓にも、
迷走神経を介して活性化させることができると考えます。
WAJU整体「ぷるタッチ反射術」では
横隔膜をアジャストする手技法があります。
臨床に於いても
逆流性食道炎や便秘等の胃腸の不具合、
飲酒で慢性的な肝臓疲労で起こる右背部痛や右腕の五十肩or痺れ、
胃腸の不具合で蠕動運動低下によって起こる腰痛などなど、
迷走神経ー起因=内臓体性反射でおこる症状(⇒所謂ー自律神経失調症)を
ぷるタッチ反射術-『横隔膜-調整』で良い成果を上げています。
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