ひざ関節痛ー各論3『下りで痛む膝』

スロープや階段の下りで痛む膝

膝を痛めると階段を上るより下るほうが辛い、

と感じておられる方のほうが多いのではないでしょうか。

それは何故?

それは膝に掛かる体重の衝撃的負荷ショックが

上るより下るほうが大きいからです。

そして、これもまた軟骨や半月板の問題ではなく

筋肉の拮抗、協調作用のアンバランスが原因

痛みを発生させているのです。 

では、

その筋肉が起すミスアライメントの’絡繰り’を観てみましょう。

下りで痛む膝-絡繰り-(痛みのメカニズム)

下り坂で送る(前に出す)脚は、

伸展した状態で地面に着地します。

地面からの突き上げる衝撃を

足裏を地面に向き合うように

足関節を合わせること

(⇒ショックアブソーバー『その2』

と、

膝関節の屈曲

(⇒ショックアブソーバー『その1』)で

衝撃を吸収するように構成されています。

このショックアブソーバーの主役は

やはり筋肉です

この筋肉に不具合が起こることが

痛みの原因です。

それを考察してみましょう。

ショックアブソーバー『その1』

膝関節の屈曲機能

膝を屈曲させる筋肉は

’太もも後ろ’のハムストリング筋です

1つの単関節筋(大腿二頭筋-短頭-)

3つの二関節筋

(大腿二頭筋-長頭-・半腱様筋・半膜様筋)

で構成されています。

この大腿二頭筋-短頭-が

トラブルメーカーになります。

その絡繰りを解剖学観点に立ち

観察してみましょう。

観察図1-膝関節を曲げる筋肉⇒ハムストリング筋ー

1~4をハムストリング筋といいます

外側に1大腿二頭筋-長頭- 

2大腿二頭筋-短頭-があります 

内側に3半腱様筋 

4半膜様筋があります

その機能は

2以外は『二関節筋』で股関節を後ろに引く

と同時に膝関節を屈曲させます。

2大腿二頭筋-短頭-は

単関節筋』で、

膝関節の屈曲のみ機能します

そして、

-短頭-と呼ばれるだけに

他の3つより”短く小さい”筋肉です

ここに落とし穴が有ります!  

観察を続けましょう。

:*: 単関節筋・二関節筋の解説は

変形性ひざ関節痛の問題-総論-をご参照ください

:*: 上図5は⇒縫工筋 6は薄筋です

観察図2 大腿二頭筋長頭・短頭
    =外側のハムストリング筋

2大腿二頭筋-短頭-は

1大腿二頭筋-長頭-の半分以下の長さと体積しかありません

それだけに衝撃負荷の負担は大きく

蓄積疲労も多くなります

故に

傷みやすく、機能障害も起こりやすい

トラブルメーカーとなり得る筋肉です

次は、大腿二頭筋ー長頭ー短頭ーの

腱の付着部を着目してみましょう

観察図3 膝窩の筋-付着部-

ハムストリングス筋の膝関節に於ける付着部は

A.とB.に振り分けられます。

A.脛骨粗面-内側-

(=鶩足(がそく)部とも呼ばれます

 ⇒アヒルの足の様に見えるので命名)

ここに

内側ハムストリング筋(3半腱様筋・4半膜様筋)

が付着します。

加えて5縫工筋・6薄筋も鶩足部に付着します。

B.腓骨頭

外側ハムストリング筋(大腿二頭筋-長頭-短頭-)

が付着します。

ここでの観察視点は

膝-内側部に手厚く、膝-外側部は手薄だ

という所で、

これが問題点です。

結果、

膝関節は下腿骨が内旋

捻れくるいを起してしまいます

ショックアブソーバー『その1』のまとめ

スロープの下りや

階段の下りで送る(前に出す)脚は

足裏からの衝撃を

膝の屈曲で吸収します。 

その衝撃を受けて

ショックを吸収する筋肉は

’太もも後ろ’の

ハムストリング筋と前述しました。

繰り返しますが、

問題点は、

内側に手厚く、外側は手薄だ、

というポイントです。

そして、

2大腿二頭筋-短頭-は短く、貧弱です!

ということは

2-短頭-にかかる負担は、

他よりも大きくなります。

必然的に疲労の蓄積も多くなります

そうなれば

筋肉は縮んでしまい(筋萎縮)

内側部と外側部の

膝関節-屈曲-作用のバランスが崩れます

下腿骨は

内旋の歪みを起してしまいます

(⇒下図参照:下腿骨が”→方向”に捻れる)

当然、ショック吸収力も低下し、

下りの突き上げで痛みが発生します!

『その1』の結論として

大腿二頭筋-短頭-の”筋機能低下”が

トラブルメーカーとなります。

この大腿二頭筋-短頭-は

治り難い筋肉であり、

いろいろなトラブルを

誘発する筋肉でもあります。

もう一度、上図をご覧ください

‘7腓骨筋’というマイナーな筋肉があるのですが、

これがまた大腿二頭筋-短頭-の不具合によって

影響を受けて機能低下を起します。

これが次の課題に繋がります。

ショックアブソーバー『その2』

足関節の調整機能

皆さんは足の趾(ゆび)の存在を

お忘れになっておられるか、

軽視しておられるのではないでしょうか。

本来、

裸足や草鞋を履いて歩いていた時代には、

足趾(そくし)で

地面を掴みバランスを取りながら

デコボコ道や浮き石だらけの道を歩いていました。

地面が舗装され、履き物が進化して、

足に掛かる負担が

余りにも軽減されてしまった現代、

元来の足趾機能を著しく劣化させてしまっています。 

下り坂や階段の下りで

送る(前に出す)足の指は

小指から地面を握る様に食む様に

接地するのが本当です。

しかし

全くといっても言い過ぎでないぐらい

足趾を使ってない・・・

現代人の小指は小さく小さく

縮んでしまっています。

もっと劣化が進んでいる人

浮き指状態になってしまっています

 上図-“7腓骨筋”は足関節を外反(足裏を外側に向ける動き)

させる機能を持ちますが、

足の外側アーチを形成し

小指から足趾の握り機能を演出する

という特殊機能をも備えた筋肉です。

○印を観察して頂いて解るように

腓骨筋腱が足底外側まで至り、外アーチを形成しています。

足は26本の骨から構成され、

身体を支えるため

強固な靱帯・筋肉・腱で支持されています。

さらに足底に3つのアーチを構成し

足裏で地面からのいろいろな衝撃を吸収します。

その外側のアーチの主軸になる筋肉が’7腓骨筋’です。

マイナーに思えて、

とてもメジャーな働きをする筋肉だったのです。

『その2』の結論と総まとめ

腓骨筋がショックアブソーバー『その2』の

足裏を地面に向き合うように足関節を合わせる

主要筋であることがご理解頂けたと思います。

ここで観察して頂きたいポイントは

大腿二頭筋-短頭-と腓骨筋の位置関係です。

腓骨頭を中心に上から大腿二頭筋-短頭-が付着し

下から腓骨筋が付着しています。

外側で1直線上に重力を受ける位置関係にあります。

両方ともショック吸収力の役目を担う単関節筋です。

ということは、

腓骨頭の筋付着部に両方の筋負荷力といいますか

マイナスのエネルギーが集まってきます

その腓骨頭は膝関節の外側に位置します。

ここに変形性ひざ関節痛の原因の1つになる

ミスアライメントが生じるわけです。

『六十膝』の原因筋である大腿筋膜張筋の不具合も

大腿二頭筋-短頭-と腓骨筋が

絡んでいるのは間違いありません

そして、

単純なストレッチやマッサージでは

いずれも回復し辛い筋肉群です。

ましてや

自己トレーニング的筋トレ&ストレッチでは

治癒させるのは難しいです。

この問題を改善させるには

的確な熟練の施術が必要です

そして、

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