ひざ関節痛-各論4『走れなくなった膝』

ー60膝ーの末路1『走れなくなった膝』

各論2で解説しました『六十膝』や

各論3『下りで痛む膝』の問題を

痛みだけを除いた状態で放置すると、

関節や筋肉のアンバランスはドンドン広がり

足関節の可動範囲が制限を起すという状態

進行してしまいます。

その状態になりますと

「1地面を蹴る力」

「2地面からの衝撃を吸収する力」が落ち、

結果 ”走れない”状態に陥ります。 

ここでも、やはり筋肉の過緊張や痩せ

トラブルの原因になるのですが、

「1地面を蹴る力」のトラブルメーカー筋

ヒラメ筋

「2地面からの衝撃を吸収する力」のトラブルメーカ筋

前・後,脛骨筋(ぜん・ご,けいこつきん)

長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)

長趾屈筋(ちょうしくっきん)

というマイナーな筋肉群です

しかし、とてもメジャーな使命を

課せられた筋肉達なのです。

その使命=機能・役割の

メカニズムを観察してみましょう。

1.地面を蹴る,跳ねる『アキレス腱の下腿三頭筋』

ギリシャ神話の『不死身の英雄アキレス』は、

下腿部(アキレス腱)を矢で打ち抜かれて

動けなくなり・・

死んだ・・というのは有名な話です。

アキレス腱を構成している筋は

腓腹筋とヒラメ筋

下腿三頭筋と称されています。

この下腿三頭筋がランニングや跳躍などの

ダイナミックな激しい動きに使われます。

下腿三頭筋の腓腹筋

”二関節筋”運動的,動作的要素が濃く

筋腹が太く大きい特徴があります。

ヒラメ筋

”単関節筋”で立位に於いて

上体が倒れないように活動するという

支持的要素が色濃く、

筋腹部よりアキレス腱部が

大きい特徴を持っています。

ヒラメ筋はとても疲れにくい特質を持つ筋肉ですが、

腓腹筋に比べると

赤身の筋腹の絶対量が少ない

という理由から

やはり負荷疲労の蓄積率が高いのは

必然のように思えます。

ここにヒラメ筋が

トラブルメーカー筋に成る要因の1つがあり

アキレス腱が固くなって

走る力や蹴る力が落ちます。

足関節の可動制限を起す『ヒラメ筋』

下図の○印は

ヒラメ筋の起始部(筋肉が骨に付着している部分)

『腓骨頭』です。

この腓骨頭周辺に

「六十膝」のトラブルメーカー筋である

大腿筋膜張筋と、

「下りで痛む膝」のトラブルメーカー筋である

大腿二頭筋ー短頭ー&ー長頭ー

が付着しています。

腓骨頭

これらの筋の扇の要(かなめ)であり、

なお且つ

重力軸の中心でもあります。

この腓骨頭周辺(膝関節外側部)は

ストレスが集約する所なのです。

そして、ヒラメ筋

腓骨頭に起始部を持つ筋肉で、

上からの重力的負荷

多く掛かる位置にあります。

「六十膝の不具合」

「下りで痛む膝の不具合」

起す悪影響

上脛腓関節(脛骨と腓骨間の関節)まで及び

ヒラメ筋の筋肉機能まで低下させる

という問題が起こる

足首やアキレス腱が固まってしまい

走れなくなってしまうのです。

これが2つ目の要因です。

2.地面からの衝撃を吸収する力『足アーチ』

足は全身を支える土台です。

我々の足裏の構造は3つの足アーチ

地面からの衝撃を吸収する機構が構築されています。

3つの足アーチ

足底に外側アーチ前アーチ内側アーチの3つアーチが有り、

前アーチ外側アーチ

小趾(第五趾)から足趾全体で衝撃を受け止め、

内側アーチに力を送り流して

衝撃力を吸収する様になっています。

内側アーチ

「土踏まず」と呼ばれ、

ショック吸収の主役になります。

このアーチは、

走ったり、ジャンプしたりするのに

無くてはならないモノ

ここが”ヘタル”と

俊敏性、機動力が落ちます。

そして、

あまり知られていない

もう一つの機能があります。

それを観察してみましょう

ウィンドラスの巻き上げ機構

端的に言えば

推進力を生む『バネ機構』です。

下図をご覧ください

歩行or走行時

足底が地面について体重がアーチに乗ると

アーチが沈み込み

そして、

踵が浮き始めると

アーチが巻き上げるように

元の高さに戻ります

この反動で蹴り出しの力が生まれ

推進力が増幅する仕組み

これを『ウィンドラスの巻き上げ機構』といいます

ということで、

足は骨構造も筋肉構造も複雑になっています。

この主力筋

前・後,脛骨筋(ぜん・ご,けいこつきん)

長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)

長趾屈筋(ちょうしくっきん)

です。観てみましょう。

足アーチの主力筋

◆”ふくらはぎ”の後面

浅い第一層に⇒腓腹筋

中の第二層に⇒ヒラメ筋

深い第三層に⇒後脛骨筋長母趾屈筋長趾屈筋

◆”ふくらはぎ”の前面

第一層しかなく⇒前脛骨筋

このような構成になっています

前脛骨筋は歩行や走行に於いて、

つま先を持ち上げる主力筋です

その相対にある後脛骨筋

土踏まずをつくり、

内側アーチの主力構成筋です。

後脛骨筋にかぶさる様

長母趾屈筋・長趾屈筋が付着しています

いずれも内踝後ろに腱が走行し

土踏まずを構成します。

これらの腱

趾(足の指)の骨に沿うように走行

前アーチをも構成しています。

この第三層ー深層筋群

すべて’支えを主なる仕事’とする

単関節筋です。

そして中層のヒラメ筋

単関節筋であり、

立位において

上体が前に倒れないように活動する

強力な支持筋です。

後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋ヒラメ筋は、

筋繊維の走行や腱の起始,付着が類似し、

すべて同じ単関節筋であり

支持機能的特性も類似した

深い因果関係のある筋肉群です。

そしてヒラメ筋が兄貴分であることは間違いなく、

そのヒラメ筋のトラブル

確実に

後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋にも及ぶ

ことは必然です。

まとめ

『O脚』や『六十膝』や『下りで痛む膝』の

不具合が原因で

ふくらはぎの主力支持筋であるヒラメ筋に

筋緊張や筋疲労が重なり、

その挙げ句くに筋痩せが起こると

前後脛骨筋と長母趾屈筋・長趾屈筋にも

不具合が発生します

それは

足アーチのショックアブソーバー機能が

低下することに繋がり

走れない、ジャンプもできない”脚”に

成り下がってしまいます。

その痛みは

膝の内側に多く発生します

このような状態での膝関節症状を

膝関節に直接アプローチする施術や治療は

適性を欠きます。

適正な施術は、

ふくらはぎ深層部の筋固着を

柔らげ,和らげて

足首を動きやすくすることです。

それと

ふくらはぎ深層部の筋痩せは

自身での筋肉トレをしなければ

元に戻りません

それも抗重力的な

体幹の重心軸から股関節→膝関節→足関節まで

真っ直ぐに通す負荷を効かせた

立位での筋トレが必要です

和柔整体では

深層筋を改善する施術ができます

そして

特殊筋トレの運動指導メニューも

用意しております

  ご来院をお持ちしております

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