腎臓とミネラル(ナトリウム&リン)

【和柔ー食養生のコラム】No3

ミネラルは不足しても摂り過ぎてもダメな栄養素

その摂取バランスを調整しているのが腎臓

腎臓の働き

 腎臓の働きを観てみましょう

尿の生成

腎臓は血液をろ過して尿を生成します

体に必要な水分や栄養素は

  再吸収され

体に不要なものは

  尿として排泄されます

血圧の調整

ナトリウム血液の量を増やす作用があり

カリウム血液の量を減らす作用があります

腎臓は

ナトリウムの排出量を増やしたり

カリウムの再吸収を促したりすることで

血圧を調整(下げるすることができます

また腎臓は

レニンというホルモンを分泌することで

血圧を調整(上げることもできます

赤血球の生成

腎臓は

エリスロポエチンというホルモンを分泌することで

赤血球の生成を促します

エリスロポエチンは

骨髄にある造血幹細胞に働きかけ

赤血球の生成を促す働きがあります

ビタミンDの活性化

ビタミンD

カルシウムの吸収を促す働きがあります

腎臓は

ビタミンDを活性化することで

カルシウムの吸収を促し

骨の健康を維持します

ミネラルの過剰摂取が腎臓に悪影響を及ぼす

腎臓は

私たちの生命維持に欠かせない重要な臓器です

腎臓の働きが低下すると

尿毒症や血圧異常、骨粗しょう症などの

さまざまな病気を引き起こす可能性があります

そのため

腎臓の健康を維持するためには

適度な水分補給やミメラルの過剰摂取に気を付けて

腎臓への負担を減らすことが大切です

塩(ナトリウム)が腎臓を傷つけるの?

塩(ナトリウム)は高血圧になるから摂り過ぎるとダメ!

現代の常識になっているようです

確かにナトリウムは

血管内に水分を引き込み血圧を上げますが

それは

栄養分や酸素を体の隅々まで送るために必要な圧力です

逆に

血圧が低くなると栄養分,酸素の供給不足になります

そうなると腎臓は

それを察知しレニンというホルモンを分泌して

血圧を上げに掛かります

血圧は低血圧状態で置かれる方が問題なのです

皆さんが懸念し

恐れている高血圧症での問題は

血管を傷つけ動脈硬化を起こす

または血管が破れて脳卒中を起こす

このような問題を危惧しておられるのでしょう

これは血管自体硬さもろさの問題

血管壁正常であれば破れたり切れたりすることはありません!  

そして塩(ナトリウム)は

血管壁を傷つけたり、血管を塞いだりはしません

我々生物は海からやって来ました

体の60%を占める水分(=体液⇒血液,間質液,細胞内液)は

昔の海水’の塩分濃度になっています

そしてその濃度を

舌(味覚)で一定に保つように出来ています

不足すれば

塩っ辛いものを食したくなりますし

過剰になれば

塩味が苦味に感じ食したくなくなります

他のミネラルは塩(ナトリウム)ほど

舌(味覚)で選別できるようにはなっていません

それほど塩(ナトリウム)は

我々にとって重要な栄養素(ミネラル)なのです

塩が足らない筋肉に力が入りにくくなるし

神経線維(脳神経線維も)に電気が通りにくくなります

それは”直ぐに疲れてヤル気が失せる”ということです。

塩(ナトリウム)は諸悪の根源ではありません!

では

何が血管を傷つけたり塞いだりするのでしょうか?

諸悪の根源はリン

血管に不具合を起こし

脳血管障害や心疾患を誘発させる

諸悪の根源物質はリンです

石灰化という現象をご存じですか

関節や背骨が石灰沈着して痛む…

石灰沈着での五十肩は有名ですよね

これは

「リン酸カルシウム」が結晶化して起こるものです

この現象が血管に起こるのが

血管石灰化による動脈硬化」です

皆さんは

コレステロールなどの”脂”が血管壁に溜まり

血管の通り路を狭めて起こる

粥状(じゅくじょう)硬化による動脈硬化

の方を

認識されていると思いますが

高齢者が起こす動脈硬化は

リン酸カルシウム結晶による

「血管石灰化ー動脈硬化」が多いようです

たとえば

野ざらしのゴムホースの様に

血管がボロボロなっていたらどうなります…

血管石灰化ー動脈硬化とは

このような状態をいいます

「大動脈解離」という疾病がありますが

まさしくこの状態に血管が変性し解離を起こす疾患です

このような変性は

全身に隈無く張り巡らされている

毛細血管にも同じようにおこります

そして腎臓は毛細血管の集合体です!

摂り過ぎたリンが血中に過剰になり

カルシウムと結合して

リン酸カルシウムになり

石灰化を起し

血管壁がボロボロに硬くなる…

思っただけでも恐ろしいことです

諸悪の根源はナトリウムではなくリンです

リンが腎臓を傷つけ腎不全に仕向ける

大きな原因因子だったのです!!

ミネラル『リン』ー有機リンと無機リンー

リンは必須のミネラルで

骨や歯の形成、細胞膜の構成、エネルギー代謝など

重要な役割を果たしています

体内に入ったリンは

酸素と結合したリン酸(PO43-)の形で存在します

リン酸(PO43-)

有機化合物と結合することで有機リンとなり

無機化合物と結合することで無機リンとなります

有機リン

有機リンは

たんぱく質や核酸などの有機化合物とリン酸が結合したもので

食品に自然に含まれるものと

食品添加物として添加されるものがあります

食品に自然に含まれる有機リンは

肉類、魚介類、卵、乳製品、豆類などに多く含まれています

これらの食品は

たんぱく質や脂質などの栄養素も豊富に含まれているため

健康的な食事において重要な役割を果たしています

食品添加物として添加される有機リンは

乳化剤や膨張剤、安定剤などの目的で使用されています

これらの食品添加物は

食品の品質を向上させるために必要不可欠なものですが

過剰に摂取すると

健康に悪影響を及ぼす可能性があります

無機リン

無機リンは

リン酸が水素やアルカリ金属などの無機化合物と結合したものです

食品添加物として添加されるものが多く

ハムやベーコン

練り物、チーズ、インスタント麺

缶詰、ファーストフードなどに

多く含まれています

有機リンと無機リンの違い

食品に自然に含まれている有機リンは体に必須の栄養素です

しかし無機リンは

有機リンに比べて腸からの吸収率が高いため

血液中のリン濃度(血清リン濃度)が上昇しやすくなります

血清リン濃度が高いと

腎臓病や骨粗鬆症などの健康問題を引き起こす可能性があります

結論

食品添加物に添加された無機リンが諸悪の根源!

まとめ

リンの摂り過ぎによって血液中のリン濃度が上昇すると

体内でカルシウムとのバランスがくずれます

すると

骨から血液中にカルシウムが放出されるため

骨のカルシウム量が減少し

骨が弱くなったり

肝機能の低下

副甲状腺機能亢進をきたし

腎臓に負担がかかることがあります

理想的には

リン1対カルシウム2の比率がいいといわれていますが

日本人はカルシウム摂取量が不足しており

反対にリンを摂取しすぎる傾向にあります

リンは

食品添加物として加工食品に含まれ

清涼飲料水やインスタント食品、スナック菓子などの

酸味のもととしても使用されているため

これらの食品を採り過ぎると

リンの過剰摂取につなが

動脈硬化を起こしやすくなります

    ー * ー

『腎臓が寿命を決める』黒尾 誠 著 幻冬舎新書 

を参考にしました

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