『ウォーキング』のすすめ

正しい歩き方って?

歩き方を教わったことがありますか?

運動を習うとき

フォームを大事にするスポーツは多いと思います

野球の投球フォームとか、

柔道や空手の『形(かた)とか、

陸上の選手は走りのフォームを習うでしょう

しかし、生まれてこのかた

歩き方を教わった記憶はありません。

//それは移動など生活の手段であって運動ではなかった…

ウォーキングを運動と捉えたとき、

やはり『歩きの形』、歩く”フォーム”は

押さえておきたい重要ポイントだと思います

考察してみましょう。

モデルの歩き方と登山の歩き方

モデルさんの歩き方をイメージすれば、

背筋を伸ばし,胸を張り,真っ直ぐに脚を振り出す

足は一線上に着地,,踵から転がすように

足裏全体で体重を受け足先で蹴る

こんなイメージでしょうか…。

しかし、

これは舗装路や平地路での歩き方、

階段やデコボコ路のアップダウンでは無理があります。

かたや、登山の歩き方は

歩荷(ぼっか)さんが、

頭上高く積み上げた荷物を微動だにせず

背負って歩く姿を

イメージしてください。

上りでも下りでも支え脚が伸び、

積み上げた荷物からの重心が一線上に通って

登山靴に落ちています。

こう観れば

やはり登山の歩き方の方

バランスという観点でいうと

にかなった歩き方のように思います

歩きを科学する

『直立二足歩行』は片脚の支えが命

我々は2本脚で歩きます。

歩き始めは片脚を挙げることからですが、

もう一方の脚が体を支えないと

踏み出すことはできません。

歩行パフォーマンスの最初の動作は

『片脚支持』です。

先ず支持脚で支え

次に遊脚を挙げ

挙げた遊脚を思うところに置く

と同時に

支持脚に”はやがわり

支え挙げ置く、支え-挙げ-置く

の繰り返し動作が二足歩行です。

片脚支持

長時間の直立保持が可能な動物は人間だけです。

ましてや、

片脚で立ち支える動作は反射神経機能が

全身の筋肉を瞬時に調整する『妙技』です。

その妙技を何気に行えることは奇跡にちかいと思います。

しかし,奇跡だけに”くるい”が生じるのも事実です・・・、

その”くるい”

「重心バランス-横ブレ」です。  

多くの方がこの問題を抱えていますがお気づきではないでしょう・・・

片脚支持の重心バランスについて観ていきましょう

重心と軸と支持基底面

地球上の物体には重力(=引力)が作用します

物体には重さがあり、その中心を『重心』といいます

そこから地球の中心にむかう直線を『重心線』といい、

その物体の重さを支える面を『支持基底面』といいます

物体が安定するには必ず支持基底面の中に

重心線が落ちていなければなりません

支持基底面の中心点に

重心線がピンポイントで落ちればより安定します

そこから外れるほど不安定感が増し、

支持基底面外に出てしまうと物体は倒れます 

人体でいうと

「重心」はヘソ奥に位置し、

支持基底面は足裏面積部ですが、

歩行時の片脚支持の場合、

土踏まずの中心点に「重心点」=「重心軸」が

落ちるとより安定したポイントになります

⇒片足支持時の重心点=土踏まずの中心点

頭の位置

ここで問題は、

人間は頭が一番上に位置しているという構造的特徴にあります。

我々は重たい頭(約5㎏)を最上部に据えいます。

頭の位置が横や前後にブレると

重心軸がズレ重力負荷が必要以上に大きく掛かります。

この頭位置問題を考慮しないと

安定した支持はできないことになります。

『頭の重心』が『ヘソの重心』を通り、

土踏まずの中心点に落ちる直線軸が

1直線に通り抜けることで

片脚支持はより安定したものになります。  

p.s.頭をシッカリ支えるには舌筋が重要なポイントを担います。「鼻呼吸のすすめ』で舌を上顎に挙げることを強調しています。このポイントは歩行や走行を持続的の行なうに於いて重要なポイントです。『鼻呼吸のすすめ』参照

足アーチと指の握り

そのむかし日本人は

鼻緒のある草履や下駄を履き

足の指をシッカリ使って歩いていました。

本来

人は足の指で地面を’握り歩く’のがあたりまえだったのですが、

靴ができ靴下を履いた現代人は、

足指の存在を忘れて’足板’の様な感覚で足を使っておられる…

これは退化に等しいと思います。 

これまで我々は

足も構造的に進化させてきました

指を握れば

土踏まずがバネの様になり蹴り出す工夫が成されています

これを「ウインドラスの巻き上げ機構」といい、

指で地面を蹴る意識は必要はありません。

体幹から脚を一直線にして

前方に重心移動すれば

自動的に蹴り出してくれます。

必要なのは地面を握ることです。

p.s.「ウインドラスの巻き上げ機構」は膝のブログでも紹介しています。

歩行時-”横ブレ”の原理 
重心横ブレと中殿筋

歩行は

支え(支持脚)-挙げ(遊脚)-置く(遊脚⇒支持脚に)

の繰り返し動作と申しました。 

遊脚を挙げるには

支持脚側の骨盤と大腿骨をつなぐ

中殿筋

骨盤の反対側を引き上げるように働いて

バランスをとります。(⇒下図参照) 

この動作時、

下半身だけの動きだけであれば

上体は必ず横にブレます

その補いは上半身にあります

腕振りと体幹の捻り

歩行時の横ブレ現象を補い

頭を中心軸に保つパフォーマンスは

腕でバランスを取って

体幹を上手く捻ることにあります。

腕の根元である胸郭(胸、肩甲骨部)を

頭からの重心線を軸に

肩甲骨を後ろに引くように腕を振ります。

この一連の腕振りと胸郭捻りのバランス動作

歩き方の良し悪しに大きく関わってきます

和柔流-正しい歩き方=握り支え歩行

イメージ三ヵ条 

基本イメージ

片脚で支え 遊脚を挙げ 思うところへ置く

片脚立ちイメージ

足指握り お尻締める 骨盤立て

腕振りイメージ

 頭固定 肩甲骨引き 肘曲げ  

歩く場所-条件変化による注意ポイント

平地 & スロープ(緩斜面の上り下り)

1本線上を歩く

階段及び急勾配の上り

左右の足を揃えた2本線上を重心を前方に移動させ歩く

階段及び急勾配の下り

重心(体重)を支持脚に預けたまま遊脚を安定した所に軟着陸させる

歩行時の呼吸

基本的には

ゆっくり歩行の時はできるだけ鼻呼吸法

速く及び強く歩くときは鼻吸いふぅー!吐き呼吸

目的によって呼吸法を変える

筋トレ目的の歩行(登山など)

⇒鼻吸い「ふぅー!」吐き努力呼吸法を徹底する。 

マインドフルネス=瞑想目的の歩行(朝散歩など)

⇒鼻呼吸法の舌上顎挙げに集中とか、

ふぅー!吐き呼吸法の呼気時の腹筋絞りに集中とか

今この時の呼吸法に集中する!」を実践する。 

ストレッチ目的の歩行(朝散歩など)

その時の体調と筋,関節の硬さに合わせて

鼻呼吸から「ふぅー!」吐き努力呼吸、及びその強弱を変えながら、

腕の振り方、挙げ方で肩甲骨の捻りに意識を集中させる。

⇒腕振りが体幹の懲りを和らげ解すストレッチになる! 

⇒これもまたマインドフルネスです!

ー * ー

筋肉・関節の動きとしくみ 秀和システム 中村和志著 

筋肉・関節の動きとしくみ事典 成美堂出版 川島敏生著  

運動に関わる筋肉のしくみ 新星出版 石井直方著 

参考にさせていただきました

総括「ウォーキングのすすめ」

当院の受付(午後の部)を担当してくれています母も87歳になり、

この3年のコロナ禍で

感染症に罹患してはいけないという精神的ストレスや、

今年の冬の寒さ,等々で、

めっきり運動意欲と頑張る気持ちが落ちてしまい、

日々の散歩&運動が覚束なくなっていました…

そのやさき(今年三月)

眩暈で転倒し、大腿骨頸部骨折の大ケガを起こしました。

即入院で、手術とリハビリの病院生活です。

私は、このまま復帰できなくなるのでは…と心配しました

が、それは杞憂に終わりました。

逆に、母にはこの怪我が幸いしたのです。

萎えていた運動意欲とヤル気が目覚め、

リハビリ病院で与えられた歩行訓練2時間に加え

病院の廊下を毎日30~40分自主的に歩いて、

普通なら退院まで70日~90日掛かるところを

40日で帰ってきました。

それも階段の上り下りが両脚で出来るところまで回復してです!

それと

リハビリ病院での歩行訓練と規則正しい生活の効果は

衰えた足腰の回復だけではありませんでした。

テンカン問題や高血圧問題まで良い状態になり

持病である脳血管,内頸動脈硬化問題も回復しているのです。 

いま母は何の薬も服用していません。

幾つ何十歳になっても『歩くこと』で全ての機能が再起動する! 

母を観て、目の当たりにして、、

確信を持ちました。

人間にとって歩行運動は

関節や背骨や筋肉はもちろん、内臓や血管&脳にも効く

最高の特効薬だということも確信できました。 

そして、歩くことに呼吸法を駆使すれば

(=精神)をも良い方向に導いてくれるでしょう!   

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