ひざ関節痛ー総論ー

ひざ関節の機能解剖メカニズム

捻挫や打撲等の怪我で起こった

急性症状ではない慢性的な関節の痛みは、

ひざ関節であれ、肩関節であれ、足関節であれ、

どこの関節の痛みであっても例外なく

その部位だけを観察し処置しても

良い方向には導けないとWAJUは考えます。

 全ての慢性的な関節の痛み問題には

原因(⇒ご本人が気付いていない場合が多い-)があり、

そこに運動動作や使い方の不具合が絡み、

それぞれの歪みパターンを呈して回復を遅らせています。

ひざ関節の問題を良い方向に導くには、

少なくとも下肢の‘3関節’である、

股関節-ひざ関節-足関節の動きの因果関係を

観察し対応する必要があります。

場合によれば、

体幹の捻れや、歩行時の腕の振りまでが

影響していることもありますので

全身の姿勢まで示唆して

対応(施術)する必要もでてきます。

では、

『ひざ関節問題』につて

俯瞰的観点にたって考察してみましょう。

ひざの問題を定義し説明するにあたり

機能解剖メカニズムを観察する必要があります。

先ず、筋肉全般の筋収縮メカニズムについて説明します。

筋肉の収縮様式の分類

人体の筋収縮運動を機能的に分類すると

【分類Ⅰ】等尺性(アイソメトリック)収縮

筋線維の長さを変えないで

張力(引き合う力)を発揮する様式

と、

【分類Ⅱ】等張性(アイソトニック)収縮

筋がある負荷とつり合い、

その長さを変えながら一定の張力を発揮する様式

にカテゴライズできます。

等張性収縮は、

さらに求心性収縮遠心性収縮の2つに細分されます。

【分類Ⅱ-①】求心性収縮

筋肉が縮みながら張力を発揮する様式

【分類Ⅱ-②】遠心性収縮

筋肉が伸びながら張力を発揮する様式

⇒簡単な図で観てみましょう

図ー左上の分類1ーアイソメトリック収縮

ダンベルを静止で持ち支えています。

図ー右上の分類2ー①アイソトニック求心性収縮

ダンベルを肘関節屈曲方向に作動します

図ー右下の分類2ー②アイソトニック遠心性収縮

ダンベルを肘関節伸展方向に作動します。

上の図でご理解頂けたでしょうか・・・!?

では、

応用的になり少し難しくなりますが

ひざ関節を動かす筋肉群で詳細に観察してみましょう。

重い物を持つ“しゃがみ込み”の

動作の図を使って説明します。

【分類1・等尺性アイソメトリック収縮】

しゃがみ込み動作図バージョン 

■中腰で荷物を持ち支えている-静止動作-

青色-大臀筋

ピンク色-大腿四頭筋

緑色-ハムストリング筋

橙色-腓腹筋

作動している筋肉すべてが

静止状態(筋線維の長さを変えない)

張力を発揮し荷物を持ち支えています。

等尺性収縮のキーワードは『支える』です

※-P.s.-
等尺性アイソメトリック収縮は
筋疲労しやすい特徴がある

例えば、

中学の部活で筋トレの時に『空気椅子』という

トレーニングメニューをしたことはありませんか!?

まさしく上図の姿勢で静止して

耐えるトレーニング方法です。

これと対比して

『スクワット』トレーニング法(等張性アイソトニック収縮)

がありますが、

『空気椅子』の方が

乳酸の発生率が多く後々に堪えます。

『スクワット』もその時はキツイのですが、

筋肉が伸び縮みする為、

血液やリンパ液の循環が促されるので

乳酸が代謝されやすく

『空気椅子』より疲労が軽い特徴があります。

 皆さまは椅子に座ることを半分は休む行為と

お考えではありませんか!?

ところがところが、

腰や背中やお腹の筋肉(体幹の筋肉群)は

等尺性アイソメトリック収縮を強いられるわけで

座る姿勢は決して楽な姿勢ではないのです! 

時々足踏みなどをして動かしましょう!!

 

「単関節筋」と「二関節筋」の筋作用の違い

次に等張性収縮について、

しゃがみ込み動作図で説明するにあたり

「単関節筋」と「二関節筋」についても

解説する必要があります。

単関節筋

1つの関節にのみ作用する筋肉

1つの関節に作用し

筋肉が縮めば関節は屈曲し

伸びれば

伸展する作用を発揮する筋を言います。

⇒ここでは大臀筋がそれです。

二関節筋

2つの関節に作用する筋肉

2つの関節に跨がり

一方の関節を屈曲させると同時に

もう一方は

伸展させるように作用する筋を言います。

必ず関節の反対側に同じ二関節筋が存在し

拮抗作用で2つの関節の曲げ伸ばしに影響します。

この図では膝関節と股関節に跨がる

大腿四頭筋ハムストリング筋

それにあたります。

それでは

分類2-等張性アイソトニック収縮について解説を進めます。

【分類2・等張性アイソトニック収縮】

しゃがみ込み動作図バージョン

■“しゃがみ込み”の持ち支えている動作から
立ち上がる動作に移行する動き

上図、表示している筋肉はすべて

線維の長さを変えて張力をだす

等張性収縮を行います。

ここで、

ピンク色-大腿四頭筋

緑色-ハムストリング筋見てください。

⇒膝周辺部位に着目してください

大腿四頭筋は縮みながら

張力を発揮する『等張性-求心性収縮』

行って膝を伸展させています。

その拮抗筋ハムストリング筋

膝裏の部位で伸びながら

張力を発揮する『等張性-遠心性収縮』

行って膝伸展の補助的な働きをして

バランスを取っています。

⇒骨盤(股関節)周辺の部位では、

ハムストリング筋は縮みながら

張力を出す『等張性-求心性収縮』をして

股関節を伸展させ

上体を立ち上がらせに掛かります。

大腿四頭筋は、

伸びながら張力を出す『等張性-遠心性収縮』

発揮して股関節伸展に働きます。(補助的)

このように

関節周辺で伸び縮みの張力(求心性収縮&遠心性収縮)

を拮抗筋と相対相互し合って

関節を円滑に動くように調整し働く

のが二関節筋の特徴です。

「等張性収縮」及び「二関節筋」のキーワードは

『伸び-縮み』です。

この時

青色-大臀筋

強い力で股関節を伸展-支持し、

扇の要のような働きで

上体を立ち上がらせます。

これが

『単関節筋』の特徴である支持作用です。

単関節筋のキーワードは

『要(かなめ)』です。

■”しゃがみ込み”の持ち支え動作から
荷物を下ろす動作に移行する動き

ここでは、

ひざ関節と足関節に着目してみましょう。

膝周辺部位(関節)に於いて

大腿四頭筋腓腹筋(下腿後面の筋

二関節筋であり相関関係にあります。

しゃがみ込みが深まれば深まるほど

大腿四頭筋は伸び腓腹筋は縮みます。

このときアキレス腱が伸びないと

足関節は曲がって行きません。

図には無いのですが、

脛(すね)の所に脛骨筋・腓骨筋という

重要な単関節筋が有ります。

こいつらは

足首をシッカリ支え、下肢全体どころか

全身の‘扇の要’的働きをします。

⇒歩行するにあたりショックアブソーバ及び着地時の足の向きの安定の役目も担う)

まとめ

’膝関節を曲げ伸ばしする動き’を

単純に屈伸動作と考えますが、

上述の

しゃがみ込み図を使った一連の解説で、

ひざ関節の複雑性

ご理解頂けたのではないでしょうか。

からだ全体の中での

膝関節屈曲-伸展という観点で観察すると、

これだけ複雑な筋肉の

相互相反作用及び反応が

行われているのです。

たとえば、

ハムストリングス筋に軽い肉離れをして

1ヶ月ちかく筋肉が凝り固まってしまった状態に

置かれたとしましょう。

そうなれば

必ず股関節か膝関節に不具合が発生します。

拮抗する大腿四頭筋も協力筋の大臀筋も

筋連係が上手く連動せず

凝り固まってしますからです。

上記した

下肢の筋肉収縮と作用を

学習いただいたことで

変形性ひざ関節痛が

治りにくい疾患であることが

少しお解り頂いたのではないでしょうか。

膝関節の半月板がすり減る、

靱帯、軟骨が損傷する、のは、

必ず

筋肉の拮抗、相互、及び協力の

連係連絡作用の

ミスアライメントが

起こっていることが原因です。

半月板を取り替えても、

靱帯を付け替えても、

その後の施術とリハビリ運動で

下半身全体の痩せて弱くなった筋肉を戻し

動きの連係連絡作用を治さなければ元に戻りません。

ここで紹介した膝関節屈伸における

主動筋-拮抗筋-協力筋

(ひざ痛を作るトラブルメーカー筋群)は、

大腿四頭筋

ハムストリング筋

大臀筋

腓腹筋

前後脛骨筋

長短腓骨筋ですが、

後述、各論で述べます

【O脚で膝内側が痛む】

【60膝=外回りする膝】

【正座できなくなった膝】

【下り坂で痛む膝】で

ご紹介するトラブルメーカー筋が

膝関節のミスアライメントに

複雑に絡んでいます。

和柔整体では

慢性のひざ関節痛を作る

トラブルメーカー筋群を

長年の施術経験と研鑽努力で熟知しています。

そして、

施術するターゲットを

トラブルメーカー筋群と

それを動かす反射神経に狙いを定め

『ぷるタッチ反射術』

矯正、調整を行い、

『WAJUストレッチ』及び

『WAJU歩行法』運動指導で、

凝り固まった関節-筋肉、及び

衰えた筋肉の回復を導きます。

半月板や軟骨がすり減っていても

痛くなく動ける膝になります!

P.s.⇒

(慢性ひざ関節ー問題ーに於いて100%完治を望むにはご自身の運動努力が必要です-)

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