坐骨神経痛

坐骨神経痛は症状名です。

坐骨神経痛が発症する代表的な疾患は

脊椎原性の腰椎ー椎間板ヘルニア・脊椎管狭窄症・脊椎スベリ症と

筋原性の梨状筋症候群です。

これらの疾患はこのブログでWAJUの見解を解説したいと思っていますが

今回は先ず”神経痛”の代表「坐骨神経痛」とは

どういうモノなのかを解説します。

坐骨神経痛の病理と神経伝達のメカニズム

坐骨神経痛の発生機序

トラブル要因-2つのパターン

坐骨神経のトラブルを分類すると

パターン1⇒椎間孔でのトラブル

神経根が背骨から出てくる椎間孔周辺で発生する炎症が原因の場合

パターン2⇒神経ー筋接合部でのトラブル

神経の枝が筋肉と接合する神経ー筋接合部での神経伝達物質及びミネラルの促通不良が原因で発生する場合

の2つと考えています。

以下の例えを見てください。

扇風機のトラブルの例

たとえば、

扇風機の電線にトラブルが発生した-例-をあげますと

神経伝達の生理-奥田整骨院-茨木
神経伝達の生理-奥田整骨院-茨木
1)⇒電気ショート=椎間孔の炎症

コンセント部の根元で埃や塵が溜まって電気ショートを起す場合

コンセント部の電気ショート

=パターン1)椎間孔の炎症と同じです

2)⇒電線の接触不良=神経ー筋接合部の促通不良

モーター部で電線が接触不良を起し電気がうまく流れない場合

モーター部の接触不良

=パターン2)神経ー筋接合の促通不良と同じです

1)の場合だと扇風機は3台とも動かなくなりますし、

2)の場合はその扇風機だけが動かなくなります

症状、状態は
パターン1のー症状は

患部下肢全体に激痛が走り足脚を動かすことも困難なほどの重篤な症状が発生します。

器質的病変(椎間板ヘルニア・脊椎スベり症・脊椎管狭窄症など)が腰椎-椎間孔部で神経根を圧迫している状態があり、その部に何らかの負荷が掛かり組織損傷を引き起し”炎症”が発生しています。痛みの特徴は患下肢全体が痛みを発します。

その処置として

先ず、椎間孔部の炎症を抑える痛み止め、炎症止め等の投薬療法、及び神経ブロック等の整形外科的処置が必要でしょう。重篤な状態の場合は観血療法も必要と考えます。

パターン2のー症状は

たとえば「太もも後面と下腿外側面に痛みと痺れがあるが、なんとか生活はできる。」このような症状、状態でしょう。傷みの特徴は部分的な箇所で、歩きが長くなると下腿が痛む、とか、車に長く座るとお尻が痺れる、とか、クーラーで冷やされると太もも後ろが痛む、とか、そのシチュエーションで症状変化を起します。

その処置として

神経末端の神経筋接合部の間質液,体液循環及び神経シナプスを栄養する毛細血管の血流循環を高める下肢筋群及び腰部筋群の理学療法的運動療法が適切でしょう。

次に、

パターン2で起こる現象=神経ー筋接合不良とはどんな現象なのかを説明します。

神経ー筋接合不良の病理

皆さまは、

坐骨神経痛は背骨がズレたことで発症するモノ

と認識しておられると思います。

⇒上記したパターン1の状態です。

しかし、

痛みの程度が中程度までの坐骨神経痛は、

神経筋接合不良で発症しているパターン2のモノが多いと思います。

しかししかし、

一般の方々に、この状態が認識されていない・・・

というのが現状でしょう。

パターン2の坐骨神経痛とはどのような状態、現象なのか・・・

生理学的観点でみていきましょう。

まず

「神経伝達の生理」から解説します。

神経伝達の生理

神経伝達は

電気的な伝達化学的な伝達の二つの方法を使って、

次の神経細胞や効果器(筋肉など)に刺激を伝播します。

神経シナプス図

神経伝達1ー奥田整骨院ー茨木市
神経伝達1ー奥田整骨院ー茨木市

上図

細胞体~軸索~神経終末までは

電気信号が流れます(電気的伝達

しかし

神経終末からの細胞間隙では

神経伝達物質(アセチルコリン)を放出して

次の神経シナプスに刺激を伝播します(化学的伝達

神経細胞内(軸索)での電気的伝達

神経膜での電位変化の図

細胞体から軸索内で電気信号が流れる現象

神経伝達の生理-奥田整骨院-茨木
神経伝達の生理-奥田整骨院-茨木

軸索内では膜透過による電位差を使って電気的伝達をします

⇒【膜透過による電位差を使った電気的伝達

神経細胞膜内のNa+(ナトリウムイオン)と

K+(カリウムイオン)の膜透過で

発生する電気を軸索に流し

刺激を軸索末端の神経終末に送ります。

神経と神経との化学的伝達

神経伝達物質による化学的伝達のイメージ図

神経伝達の生理-奥田整骨院-茨木市

神経伝達物質による化学的伝達

神経終末部で電気信号を受けとると

Ach(アセチルコリン)神経伝達物質を’間隙’に放出します。

それを次の神経細胞や筋肉にある

受容体が受け取ります。

次の神経細胞でも

Achの刺激でNa+とK+の膜透過が起こり

電気的伝達刺激が伝播していきます。

●これが”神経と筋肉の接合部になると以下の様なイメージになります。

神経と筋肉の接合部での化学的伝達

上述では、

神経細胞と神経細胞での伝達を観察しましたが、

神経末端が筋肉(乃至は効果器)に信号を伝達するシステム

を観察してみましょう。

神経筋接合部のイメージ図

下図は 神経-筋-接合部です

神経伝達の生理-奥田整骨院-茨木市
神経伝達の生理-奥田整骨院-茨木市

●神経ー筋接合部のイメージ図(クローズアップ図)

神経‐筋接合部の神経末端部から放出された

神経伝達物質のAch(アセチルコリン)によって

神経伝達の生理-奥田整骨院-茨木市
神経伝達の生理-奥田整骨院-茨木市

筋肉側の膜チャネルが開き、

神経と筋肉の間隙に漂っているNa+(ナトリウムイオン)が

一気に筋膜内に流入しているところです。

●筋肉線維内に化学的伝達物質が流入しているイメージ図

下図⇒小胞体から筋肉線維内にCa2+(カルシュウムイオン)が

放出-拡散しているイメージ図です

神経伝達の生理ー奥田整骨院ー茨木市
神経伝達の生理ー奥田整骨院ー茨木市

神経と筋肉の接合部での化学的信号伝達がなされると、

こんどは筋肉内で新たにまた活動電位が起こり、

筋小胞体というところにため込まれているCa2+が、

その刺激を受け筋線維に放出-拡散され、

筋肉の収縮活動が始まります

筋線維内での筋の収縮(最小単位)

●下図⇒筋線維の束です

●下図⇒筋線維の束の一本⇒これが筋線維の最小単位です

●2つの筋線維フィラメント(青ーアクチン・黄ーミオシン)

ミオシンフィラメントの間にアクチンフィラメントが引っ張り込まれる

上図の様なフィラメントの引っ張り込みの動きが

筋最小単位ごとに一斉に起こる状態

これが’筋の収縮活動’です。

パターン2)神経ー筋接合部ー促通不良の現象ー解説ー

神経筋接合部で

以上のような化学的信号伝達が行なわれて,はじめて、

筋活動が起こり、我々は身体を動かすことができます。

ここで注目していただきたいことは

神経が刺激を伝達するに於いても、

その刺激を受けて筋肉が活動するに於いても、

化学物質であるNa+、K+、Ach、Ca2+

それと

ATP(アデノシン三リン酸)という

筋線維フィラメントを動かすエネルギーになる物質

が必要であるということです。

とくにAch(アセチルコリン)の流動不足及び停滞が起こり

受容体に情報伝播が滞ると

神経細胞も筋肉もうまく機能しなくなります。

この化学物質代謝-循環不良が

パターン2)神経ー筋接合促通不良の現象です。

P.S.⇒皆さまはフグ中毒の怖さをご存じだと思います。フグ毒(テトロドトキシン)が神経ー筋受容体にAchより先廻りして接合してしまうことがフグ中毒です。その状態は神経と筋の麻痺です。全身に毒が回ると呼吸筋が麻痺し酸素を取り込めなくなり窒息死します。まさしくこの神経ー筋接合不良の最たる状態ということです。

P.S.⇒運動の最中や運動後に、ふくらはぎの筋が吊る、ひどい場合は太ももが吊る様な状態を経験された方は多いのではないでしょうか。これは汗からNa+が放出してしまい、激しく使った神経、筋のNa+不足が発生し、神経細胞内の伝達電位が下がってしまう、及び神経ー筋間隙から筋膜内へのNa+流入不足で起こる現象です。塩分(自然塩)は人間にとって必要不可欠な物質です。運動の前後には塩分を摂取しましょう。薬等々で血圧を下げ過ぎないよう注意しましょう。

総括

パターン1は

器質的病変(椎間板ヘルニア・脊椎スベり症・脊椎管狭窄症など)が

腰椎-椎間孔部で神経根を圧迫している状態があり、

その部に何らかの負荷が掛かり組織損傷を引き起し”炎症”が発生しています。

痛みの特徴は患部下肢全体に激痛が走り

足脚を動かすことも困難なほどの重篤な症状が発生します。

治療は、椎間孔部の炎症止め,痛み止め等の投薬療法、

及び神経ブロック等の整形外科的処置が必要でしょう。

重篤な状態の場合は観血療法も必要と考えます。

重篤な場合、当院の施術では太刀打ちできないと思います。

パターン2は

患側の臀部や太もも後面や下腿外側等々に痛み,痺れがあるが、

症状の特徴は部分的な箇所であり、

歩きが長くなると下腿が痛む,とか、車に長く座るとお尻が痺れる,とか、

クーラーで冷やされると太もも後ろが痛む,とか…

そのシチュエーションで症状の度合いに変化を起します。

このような場合は、

炎症,痛み止めを服用しても、神経ブロック注射をしても、

症状は軽減しないと思います。

それは当然で炎症性の不具合ではないからです。

問題を改善するには、

神経ー筋接合部の促通を促す処置が必要です。

場合によれば、(⇒足が吊る様な急性状態の場合)

神経筋接合部の神経伝達物質(Na+、K+、Ca2+)の

不足を補う栄養補給も必要です。

慢性状態の場合は、

神経筋接合部の間質液,体液循環及び神経シナプスを栄養する

毛細血管の血流循環を高める患肢下肢筋群の理学療法的運動療法が適切でしょう。

また、こんな場合もあります。 

XーRAY検査及びMRI検査で器質的病変(椎間板ヘルニア・脊椎管狭窄症、脊椎スベリ症)があると診断されたとしましょう。

しかしその症状は炎症性の疼くような激しい痛みではなく、

歩きが長くなると下腿が痛む、とか、車に長く座るとお尻が痺れる、とか、クーラーで冷やされると太もも後ろが痛む、とか、

そのシチュエーションで症状の度合いに変化を起すような状態である場合、

それは「パターン2」の問題が椎間孔周辺で起こっていると考えなければなりません。

(⇒脊椎管狭窄症と診断された場合この状態があると思われます)

腰椎-椎間孔部で神経根を圧迫している状態があり、

その部に何らかの負荷が掛かり組織損傷を引き起し”炎症”が発生しているのでは無いと思われます。

 とうなると、

腰椎周辺の血液、体液循環を促し、ATPエネルギーを中心とした化学物質代謝を促進させる処置が一番適切な処置ということになります。

その処置は、理学療法を含めた運動療法に他なりません!   

●WAJU整体では

神経-筋促通不良で発生する症状を改善するにあたり、

患部に血液循環、及び体液循環(乃至-リンパ循環)を促す緩やかな

反射ストレッチ(ぷるタッチ反射術)を施します。

ときには栄養指導も必要であると考えています。  

Wajuは40年の年月をかけ坐骨神経痛を改善に導く「ぷるタッチ反射術」を

完成の域まで高めています!

 

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